- 現状維持を強烈に望んでいる
- 必要以上に仕事をしたくない
- 今の給料で無難に仕事ができればいい
このような向上心のない年上部下に苦労してませんか?
このマインドで仕事をされると、周囲に悪影響を与えかねません。
そこで今回は、向上心のない年上部下を前向きに変えるための方法について解説したいと思います。
そもそも年上部下に向上心がない理由とは?
まずは「なぜ向上心がないのか」について考えてみましょう。
ここを理解しない限り、ただ対策しただけでは効果が見込めないからです。
年上部下に向上心がない一番の理由は、「がんばっても昇格が見込めないこと」です。
昇格が見込めないのであれば、ムリに頑張らず現状を維持しようとするのは当然のこと。
必要以上に仕事をしたところで、自分にメリットがないからです。
- 今まで一生懸命がんばってきたけど評価されなかった
- 自分がやればやるほど上司の評価が上がるだけだった
- 頑張りすぎて身体的または精神的に異常が出た
こういう苦い経験を経て、今の考えに至ったのかもしれません。
頑張ることで、逆にデメリットのほうが多いと感じています。
実際に、
- 都合のいい時だけ頼られる
- 自分のアイデアを上司にパクられる
- 仕事を丸投げされる
ということも考えられます。
仕事の技術を高めることで給料が上がるのならやる価値はあります。
給料は上がらない…、しかも都合よく使われるだけなら、無難に仕事をしようとするのは自然なことなのです。
向上心のない年上部下が職場に及ぼす悪影響とは
向上心のない年上部下がいることで、まわりにどんな悪影響を及ぼすのかを考えてみましょう。
若手への悪影響
こんなことを言っているベテランを見たことはありませんか?
- がんばろうとしているのに、「そこまでする必要はない」と言う
- 自分なりに考えながら仕事をしているのに、「そんなことは無駄だ」と言う
- 新しいやり方にチャレンジすると、「余計なことするな」と言う
なぜこんなことを言うのか。
理由は2つあります。
- がんばっても評価されなかった自分の経験から、それが正しいと思い込んでいる
- 自分を評価しなかった会社や上司に対しての仕返し
1. は「善意」で言っているが、2は個人的な恨みが原因です。
どちらにしろ、前向きにがんばろうとしている若手の足を引っ張ることには違いない。
こんなことを言われ続けた若手は、「本当にがんばってもムダなんだ」と洗脳されてしまうんです。
職場全体への悪影響
年上部下が「影響力のあるベテラン」の場合は特に注意が必要です。
なぜなら、言葉に重みがあるからです。
何気ない一言が、周りにいる人の「仕事に対する価値観」すら変えてしまうこともあります。
たとえばベテランが、「これはやる価値がある」と言うと、価値があるならがんばろうと思うだろうし、「やっても意味がない」と言うと、意味がないならやめておこうと思うはずです。
特に、「自分に考え方の軸がない人」は影響を受けやすいので注意が必要です。
現状維持するためにまわりのやる気を下げようとする
実際にやる気のある若手からよくこんなことを相談されます。
僕はもっと仕事がしたいのに、Aさんが「そこまでするな!」って言ってきます。
何なんですかあの人? 自分があんまり仕事をしていないことがバレるのが嫌なだけなんだと思います。
あの人どうにかしてください。
やる気のある若手に対して、「そこまで頑張るな!」と圧力をかけるパターンです。
ひとりが頑張るとパワーバランスが崩れ、自分も今以上に動かないといけなくなります。それを阻止するために圧力をかけて、まわりのやる気を下げようとするのです。
「いらんことしてくれるなや!」
という攻撃的な感情が芽生えるのもわからなくはありません。
「現状維持」を望む人にとって、変化を起こそうとする前向きな若手の動きはただ迷惑なだけだからです。
向上心のない年上部下を前向きに変える2つの対策
「まわりに悪い影響を与えてしまうので、そういうのやめてもらえませんか。。。」
こう言ったところでムダです。
行動を変えないどころか、「自分を否定された」と思い、反論してくるでしょう。あなたがいくら正当な理由を言ったとしても…です。
なぜなら、相手は論理の生き物ではなく「感情の生き物」だからです。
じゃあどうすればいいのか。
対策は2つ。
- 評価指標を変える
- 思いっきり頼る
詳しく説明していきます。
1.評価指標を変える
まず前提として、人は慣れ親しんだやり方を手放すことに恐怖を感じています。そう簡単に行動を変えません。
しかし「評価指標」を変えると、その瞬間から行動を変えるのも人間のおもしろいところです。
評価に対して人はどのような行動をとるのか、『できるリーダーは「これ」しかやらない』ではこのような例をあげている。
ここまで言うのには理由があります。会社員は「評価」で動くからです。
(中略)
ただ、評価とならないことを「頑張れ」と言っているため、徹底されないことが多いもの。
残業だってそうです。
いっこうになくならない理由として、残業手当の存在は無視できません。
残業すれば時間あたりの単価は25%アップするわけで、言うならば、残業することをむしろ評価する結果となっているわけです。
そりゃ、やめないでしょう。
(中略)
中には、早く帰った人のほうが、インセンティブ(報酬金)が高くなるようにしている会社もあります。
その結果、これらの会社では、「どうやったら早く帰れるのか」と自主的に考えるようになっています。
評価の対象にすれば、3ヵ月で行動は変わります。
『できるリーダーは「これ」しかやらない』(伊庭 正康/PHP研究所)
まわりに悪い影響を与えれば評価を下げる。
逆に若手の育成や、新しいことへのチャレンジは高く評価する。
評価は金銭的な報酬(昇給など)につながるものじゃなくてもいいです。
誠実な気持ちで褒めて相手の「自尊心」を満たすことも報酬として機能します。いや、機能するどころか、金銭的な報酬よりも満足してくれるはずです。
思いっきり頼る
年上部下は思いっきり頼られることで、行動を変えてくれます。
なぜなら、私たちが思っている以上に、人は「誰かを助けてあげたい」と考えているからです。
ただし注意してほしいことがひとつあります。
それは、自分の利益のために相手を利用しようとしないことです。
そんな意図があれば相手はそれを敏感にキャッチし、頼られても拒否することになるでしょう。
そうならないためにはどうすればいいのかというと、まずは相手の自尊心を満たすために「相手を認める」ことからはじめましょう。
まずは年上部下の技術や経験をリスペクトします。
その上で、
「その貴重な経験を『あなただから言える大切なこと』として若手に教えてあげてほしい」
と言う感じでお願いしてみてください。
そんなことぐらいで…? と思うかもしれませんが、自分のことをリスペクトしてくれる相手に嫌な感情を持つ人はいません。
それどころか、
「お! こいつは俺の価値をちゃんと理解してるんやなぁ」
と思い、意外とすんなりこちらのお願いも聞いてくれるはずです。
相手をリスペクトして思いっきり頼る。
これをやってみてください。
※「頼り方」についてはこちらの書籍が非常に参考になります。
まとめ
今回は、向上心のない年上部下が職場に及ぼす悪影響とその対策について解説しました。
- 年上部下に向上心がない理由は、必要以上に仕事をしても自分にメリットがないから
- 向上心がない年上部下は、現状維持するためにまわりのやる気を下げようとする
- 向上心のない年上部下を変えるには、評価指標を変えることと、思いっきり頼ることが有効
ということです。
以上。