リーダーに抜擢されたとたん、態度が急変する人っていますよね。
たくさんのリーダーを見てきましたが、90%の人はリーダーになったとたん部下に指示命令をし、人を駒のように扱おうとします。
リーダーになる前は、散々、前リーダーへの不満を口にしていたにも関わらずにです。
なぜこのようなことが起こるのかというと、
- 「立場」
- 「役割」
- 「能力」
この3つを勘違いすることで、考え方に歪みを起こしているからなんです。
そこで今回は、リーダーになったとたん考えに歪みが起こる原因と、勘違いリーダーの特徴について、詳しく書きたいと思います。
「部下」という言葉は嫌いなんですが、ここではあえて「部下」という言葉を使っています。
歪みを加速させる リーダーとしての3つの勘違い
ここでは、「立場」「役割」「能力」この3つの勘違いについて、詳しく解説します。
1.「立場」への勘違い
リーダーという立場を与えられることで、「偉くなった」と勘違いが起こります。
その結果、自分がピラミッドの頂点に立ったような錯覚をし、部下を見下すようになるんです。
そもそも肩書は、上下関係を示すものではなく、あくまでも「役割分担」を示すもの。
リーダーとしての役割は何なのかをちゃんと理解していないと、このような勘違いが起こってしまうんです。
2.「役割」への勘違い
リーダーとは、「何でもこなせる存在じゃないといけない」という勘違いをしてしまいます。
なので、何でも自分の頭で考えで仕事を回そうとします。
その結果、リーダーには、
「チームの能力を最大限に発揮させる」
という大事な役割があるにもかかわらず、人に任せられないという最悪な状態をつくってしまうんです。
3.「能力」への勘違い
リーダーに抜擢されることで、「自分の能力を認められた」と勘違いしてしまいます。
「能力がある自分がすべてを考え、自分より劣る部下は、言われたことを実行するためだけに動けばいい」
という考えにつながってしまうんです。
その結果、
- 部下の能力を活かせない
- 部下に反抗される
- 目標を達成できない
ということが起こるんです。
勘違いリーダーの特徴|歪んだ考え方の例5つ
勘違いリーダーは、自分の考えが歪んでいることに気づいていません。
リーダーという「立場」が、考えを歪ませる原因になっているんです。
むずかしい言葉でいうと、これを「認知バイアス」といいます。
「認知バイアス」とは
人が物事を判断する場合において、個人の常識や周囲の環境などの種々の要因によって非合理的な判断を行ってしまうことを指します。
簡単に言うと、
「正常な判断ができなくなる」
ということです。
わかりやすい考え方の歪み例を5つ紹介します。
自分は尊敬されるべき存在だ
勘違いリーダーは、「自分は周りの人より優秀だ」と思っているので、
「優秀なんだから尊敬されて当然」
「ていうか尊敬されるべき存在だ」
「ていうか尊敬しろよ!」
というヤバい勘違いしています。
リーダーとしての役割をよく理解し、部下の能力を120%発揮させられる環境を整えることができれば、自然と尊敬されるはずですよね。
しかし、自分の行動以前に、
「リーダーとして選ばれた俺はお前たちよりも優秀なんやから尊敬しろよ」
という身勝手で歪んだ考えをしてしまうんです。
何にでも口をはさむ
勘違いリーダーは、「何でもこなせないといけない」と勘違いしがち。
なので、何にでも口をはさみ管理しようとします。
その結果、人に任せることができずに自分のやることがどんどん増えてしまいます。
「自分はこんなに大変な仕事をしてる。それに比べてお前らは楽でいいよなぁ~」
と部下を見下すことにつながってしまうんです。
自分のすることはすべて善意であり正義だ
「俺の言うとおりにやれば、みんなもっと仕事がはかどるし楽になるはず」
「こんなにみんなのことを考えているのに、なんで言うこと聞かへんねん?」
「俺はお前たちのことを思って言ってるねん、だから言う通り動けよ!」
言葉に出しては言わないにしても、心の中ではこのように思いがち。
実際に、現場リーダーの相談に乗っていると、このように愚痴をこぼしている人が多いです。
自分は善意で言っているつもりなのに、まったく部下が動かない。
そりゃあそうです、自分の考えをただ押し付けているだけですからね。
立場上、部下を否定してもいい
「自分はリーダーという絶対的な存在である」
と勘違いしているので、部下の意見や行動を否定し正そうとしがちです。
「お前たちは何も考えずに言われた通り動けばええねん!」
といわんばかりに、自分より立場が下な者を「駒」のように扱います。
自分の考えたことに対して反対意見が出ようものなら、すぐに感情的になり潰しにかかるのもそのせいです。
自分は教育者としてもすぐれている
リーダーに選ばれた自分は誰よりも知識があり、教育者としてもすぐれている、と勘違いしがち。
この勘違いは、周りをシラケさせます。
例として、「感電について」という名目で安全ミーティングするとします。
目的は、知っておいたほうがいい知識や情報をメンバーみんなでシェアすること。
しかし、なぜかその道のプロでもないのに、何でも知っている先生のように教育をはじめたりします。
たとえば、
「雷に打たれるとビリってしびれるどころじゃないで! 一瞬で心臓止まって100%即死やからな」
ということを言ったりします。
これって、自分がなんとなく抱いている「雷に打たれた人のイメージ」を、そのまま押し付けてるんですね。
でも実は、雷に打たれても全員が死ぬわけじゃないんです。
落雷の直撃を受けた場合の死亡率は約70~80%(雷撃後に、何も処置しなかった場合は約90%)であることが、統計結果や動物実験から推定されています。
引用元:人体への雷撃パターン |身を守る| 雷の知識 | 雷(らい)ぶらり
で、メンバーの中には電気に詳しい人もいるかもしれない。
その人からしたら、
「この人、何も知らんねんな・・・」
となり、信用できないリーダーとして認定されることになります。
このように、リーダーという立場が考えを歪ませてしまいます。
リーダーシップ講習や管理職向けの研修で学んでいるにも関わらず・・・にです。
これが立場によるバイアスの怖さです。
まとめ
今回は、勘違いリーダーの特徴について書きました。
「立場」「役割」「能力」を勘違いすることで、すべての思考にバイアスがかかり、負の連鎖が起こります。
そうならないためにも、
- リーダーという「立場」は何を期待されているのか
- リーダーはどんな「役割」を果たせばいいのか
- リーダーは誰の「能力」を伸ばせばいいのか
この3つをよく理解したうえで、目標に向かって突き進んでください。
おすすめ書籍