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割り込み仕事で元の作業に戻れない若手指導法|手戻りをゼロにする「3行再開メモ」

割り込み後、元の仕事をどこまで進めたか分からず手が止まる若手と、メモを確認する班長

「これ、先にお願い!」

作業の途中で、急ぎの仕事を頼まれる。現場では珍しくない場面です。

若手は頼まれた仕事へ移る。

急ぎの仕事が終わり、元の仕事に戻ろうとしたところで、「あれ、どこまでやったっけ?」と手が止まって確認し直す。

やったところをもう一度触る。ひどいときは、途中の確認が抜けたまま先へ進んでしまう…。

こんな動きを見ると、「もっと集中して仕事をしろ」と言いたくなるかもしれませんが、ここで抜けているのは集中力ではなく、中断した仕事へ戻るための情報が、何も残っていないことが問題です。

割り込みをなくせないなら、仕事を切り替える前に、元の仕事へ戻れる形を作っておく必要があります。

中断前に残すのが、「いま・次・戻る」の3行です。

今回は、若手にどう教えるかだけでなく、途中で別の仕事を頼む側が何を確認するかまで整理します。

元の仕事へ戻れる形で手を止める

人は、作業の途中で声をかけられれば注意がそれます。急ぎの仕事なら、いったん手を止めなければならないこともあります。

中断は避けられなくても、

  • 今の作業をどこまで終えたのか
  • 戻ったら何から始めるのか
  • いつ戻るのか

は残せます。

この3つを何も書かないまま別の仕事へ移ると、戻ったときに状況を読み直すことになります。

経験の浅い若手ほど、見直す範囲も広くなります。

そこで「集中力がないやつだ」とレッテル貼りしてしまうと、何を教え直せばよいのか分からなくなります。

作業が中断されたときは、元の仕事へ戻れるようにしてから手を止めたかを確認させることが大事です。

優先順位を決めた後に、もう一つやることがある

以前、要領が悪い若手の指導で最初に見るべき「優先順位の崩れ」という記事を書いたんですが、そこでは、頼まれた瞬間に飛びつかず、一度止まって、今の仕事と頼まれた仕事の重要度を見比べることを書いています。

今回の話は、その続きです。

仕事の重要度を見比べた結果、「この急ぎ仕事へ切り替える」と決めたとします。その判断が正しくても、元の仕事を何も記録せずに止めれば、戻ったときに迷いが生じます。

つまり必要なのは、次の二段階です。

  1. 切り替える前に、どちらを先にするか決める。
  2. 切り替えるなら、元の仕事をどこから再開するか残す。

優先順位を決めることと、元の仕事へ戻れるように準備してから手を止めることは、分けて教える必要があります。

中断前に残すのは「いま・次・戻る」の3行

班長が若手へ、仕事を止める前に「いま・次・戻る」の3行を残すよう教える

作業を中断する前に、次の3行だけを残します。

いま:どこまで終わったか
次 :戻ったら最初に何をするか
戻る:いつ・何が終わったら戻るか

たとえば、検査表を途中まで入力しているなら、こう書けます。

いま:12件中8件まで入力済み
次 :9件目の寸法確認から始める
戻る:応援作業が終わったら、15時までに戻る

「検査表の作業中」では足りません。

それでは、どこまで終わっているのか、何から動けばよいのかが分からないからです。

再開メモで大事なのは、きれいに記録することではありません。元の作業に戻ったときに、最初の動きが分かることです。

設備停止や安全確認など、正式な中断・再開手順が決まっている作業では、そちらを優先してください。

短い再開計画は、切り替え先の仕事にも影響する

仕事の中断について研究したソフィー・ルロワ氏とテレサ・グロム氏は、元の課題へどう戻るかを中断前に短く考える「ready-to-resume plan」を調べています。

4つの研究では、復帰計画を立てた場合、前の課題について考え続ける度合いが小さくなり、割り込み先の課題の成績低下も抑えられました。

ただし、この研究が製造現場の「3行メモ」をそのまま検証したわけではありません。

ここで使えるのは、「中断前に元の仕事をどこから再開するか決めておくと、その仕事のことを頭の中で持ち続けなくてよくなる」という考え方です。

3行の再開メモは、その考え方を現場で書ける長さに置き換えたものです。

参考:Tasks Interrupted(Organization Science)

若手だけでなく、割り込み仕事を出す側も変える

若手に再開メモを教えても、周りが「今すぐ来て」と急かし続ければなかなか定着しません。

仕事を頼む側も、若手がメモを書く短い時間は待つ必要があります。

声をかけるときは、次の順で確認します。

  1. いまの仕事が、どこまで終わっているかを聞く。
  2. 戻ったら最初に何をするか、本人に言ってもらう。
  3. この仕事が終わった後、いつ戻るかを決める。

最初の数回は、OJT担当者が一緒に3行を書けばよいです。

本人が自分で「いま・次・戻る」を言えるようになれば、中断の仕方が身についてきたと確認できます。

反対に、急ぎでもない仕事を次々に差し込んでいるなら、本人の集中力より先に、周りの指示の出し方を見直すべきです。

戻れなかったときは、本人だけを反省させない

再開メモを残しても、予定どおり戻れないことはあります。

  • 急ぎ仕事が長引いた。
  • さらに別の依頼が入った。
  • 元の作業場所を別の人が使っていた。
  • 戻る時間を決める権限が本人になかった。

こうした条件まで無視して「また集中できなかった」で終わらせると、同じことが起きます。

戻れなかったときは、次の順で見ます。

  1. 3行は具体的に残っていたか。
  2. 戻る条件は現実的だったか。
  3. 周りが新しい割り込みを重ねていなかったか。
  4. 元の作業へ戻る判断を、本人に任せていたか。

直すのは本人の性格ではなく、次の中断で変えられる条件です。

若手が検査表の9件目から元の仕事を再開し、班長が確認する

明日から使う3行の再開メモ

紙でも、ホワイトボードでも、作業日報の余白でも構いません。

まず一つの作業で、次の3行を使ってみてください。

いま:
次 :
戻る:

「集中しろ」と言うだけでは、若手は何を変えればよいか分かりません。

作業中に注意がそれることはあります。だからこそ、元の仕事へ戻るために何を残すのかまで教える必要があります。

その準備が、中断前に残す3行です。

OJT全体の設計を見直したい方は、教育設計チェックシートも使ってみてください。

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