KAZU
現場で見えにくい価値や判断基準を、言葉と行動に変える人。
プラント工事の現場から、製造業の溶接職人を経て、現在は人材育成の講師として、教育カリキュラム・研修・OJT・技術継承に関わる仕事をしています。
このサイトを作った理由
遠回りしてでも、結局できるようになる。だったら能力がないんじゃない。間違っているのは、そこまでの過程です。
これが、このサイトでいちばん伝えたいことです。
理由を一言もらえていたら間違えなかった
現場に入ったばかりの頃、説明はいつもざっくりでした。
順番も細かいところも、はっきりとは言われません。
それなのに教える人の頭の中にある理想の形や順番とずれると、ダメ出しされます。
「自分で考えろ」と言われて、自分で考えてやると否定される。
言われていないことを「前にも言ったやろ!」と言われる。
解釈の余地がある指示を「とにかくやれ」と言われ、自分なりに解釈してやると、その人の解釈と違うと怒られる。
わざと間違えさせて怒りたいんか?と感じたこともあります。
しかし後になって分かりました。
「これはこういう意味があるからこうする」と理由まで言ってもらえていれば、前提が分かるので間違ったことはしなかったはずです。
「向いてない」と言われた人も、結局できるようになる
長く現場にいると、「あいつは向いてない」「センスないな」と言われる人を何人も見ます。
溶接でも最初は全然うまくいかない人がいました。
でもずっと見ていると、時間をかければ大体の人ができるようになります。
遠回りしてでもできるようになるなら、能力がないわけではありません。
本人の考え方にも間違いはあります。そして、教える側にも間違いがあります。
だから遠回りするし、間違えるし、その間違いを責められるのです。
教える人が変わったとたんに伸びた人も、何人も見てきました。
- 理由を言わずにきつく言うだけの人の下では
=何を基準に考えればいいのか分からず、その人の気分で良し悪しが変わる。若手はなかなかうまくいきません - 分かる言葉で考えるための材料を渡しながら教える人の下では
=自分で考えられるようになり、伸びやすくなります
違いは、能力ではなく教え方でした。
「こういうことですか?」をもっと早く
教える側になっていちばんうれしいのは、相手が「これですか?」「こういうことですか?」と言ってくれる瞬間です。
分かりやすく伝えても、最初は分からないことがたくさんあります。
それでも順番を考え、つかむための材料を渡していくと、その瞬間は早く来ます。
「見て覚えろ」で遠回りさせるのではなく、その瞬間を早く作れる教え方に変えたい。
それが、このサイトを作った理由です。
誰のために書いているか
このサイトは、教える立場の人のために書いています。
OJT担当・教育担当・班長・ベテラン。
新人や中途の人がなかなか育たず、「向いてないのかな」と感じ始めている人です。
相手を変えようとする前に、教え方の過程のどこで遠回りが起きているのかを見つける。そのための材料を置いています。
キャリア
19〜25歳:プラント工事で全国を飛び回る
1998年、19歳でプラント工事の現場に入り、機械据付や配管工事に関わりました。
全国の現場を回り、体ひとつで飛び込み、先輩のやり方を見て、自分で覚えていく日々でした。
ここで身に染みたのは、現場の厳しさだけではありません。
「見て覚えろ」の世界には、たしかに強さがあります。しかし同時に、何を見ればいいのか、なぜそう判断するのかが言葉になっていないと、学ぶ側は遠回りするしかないという限界もありました。
25〜42歳:製造業の生産職場
25歳からは、製造業の現場で溶接職人として働きました。
半自動溶接・TIG溶接・アーク溶接。
自分で技術を磨くことと、後輩や若手に教えることの両方を経験してきました。
2018年に溶接を引退してからは、42歳まで非破壊検査などの検査業務に携わりました。
その中で強く感じたのは、現場の判断の多くが「センス」「勘」「経験」で片づけられていることです。
本当は、そこには理由があります。
- どこを見るか
- どの変化に気づくか
- どの順番で考えるか
- 何を見たら、次にどう動くか
でもそれが言葉になっていなければ、教える側も「見て覚えろ」と言うしかなくなります。
学ぶ側も、自分が何をわかっていないのかがわからないままに…。
現在:人材育成講師として
2023年に、教育の仕事を始めました。
現在は、製造業の人材育成講師として研修・OJTの現場に立ちながら、「現場で本当に使える教育とは何か」を研究・設計しています。
人が変わるときは、ただ説明されたから変わるのではありません。
見え方が変わり、意味づけが変わり、自分の中で「そういうことか」とつながったときに、行動が変わります。
私は、そのきっかけを意図して設計することに価値があると考えています。
教え方で失敗したこと
自分の教え方でも、失敗はあります。
自分で考えて改善を回していけるセンスのいい人に、細かいところまで言いすぎてしまったことです。
そういう人には、細かいことを言わずに任せた方が伸びます。
相手の考えを縛るやり方はダメだと、そこで分かりました。
ただ大事なことと考えるための材料は、ちゃんと渡さないといけません。
何を渡して、何を任せるか。そこまで考えて設計するのが教える側の仕事だと考えています。
このサイトで書いていること
このサイト『現場教育ラボ』は、現場で軽く扱われがちな判断基準や暗黙知を見える形に変え、若手が育ち、教える人の価値も正しく伝わる教育を作るための研究と実装の記録です。
どの記事でも、手順だけでなく「なぜそうするのか」を一緒に書きます。
- 教育設計
=研修・OJT・技術継承を、若手が育つ流れとして組み直す - OJT設計
=現場でどう教え、任せ、フィードバックし、定着させるかを整理する - 若手育成
=1on1、仕事への向き合い方、認識の変化、行動の変化を見る - 技術継承
=ベテランの判断基準・暗黙知・現場の勘所を、次の人に渡せる形にする - 教える人の育成
=OJT担当・教育担当・ベテランを孤立させず、教える貢献が報われる仕組みを考える
大切にしていること
私が大切にしているのは、現場の価値を奪わないことです。
職人の技術や判断基準は、簡単にマニュアル化できるものではありません。
長い時間をかけて身につけた見方、違和感、判断の順番があります。
だからこそ、それを雑に切り取るのではなく、本人の価値が伝わる形で言葉にしたい。
見えない教育の設計を、言葉・構造・教材・仕組みとして残していきたいと考えています。
会社にも通り、若手にも伝わり、教える人の貢献も残る。そんな教育の形を作っていきたいと考えています。
お問い合わせ・ご相談
記事の感想やご質問などは、お問い合わせフォームからご連絡ください。