精神的に病みかけてる部下を救いたい!
こう思っているのなら、『嫌われる勇気』を読ませてあげることをオススメします。
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解説
『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』は、フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話篇」という物語形式を用いてまとめた一冊です。
なぜこの本をオススメするのかというと、
- 他者からの評価が気にならなくなる
- 対人関係の悩みを一気に解消する方法がわかる
- コントロールできない悩みに振り回されなくなる
このような効果が得られるからです。
そこで今回は、『嫌われる勇気』の中でもっとも重要な「課題の分離」について、書いていきたいと思います。
部下が精神的に病みかけてる原因は「課題の分離」ができていないから?
上司に対する悩みとしてよくあるのはこんなことです。
- 話の内容を理解してくれない(できない)
- まったく話を聞いてくれない
- 何か意見を言えばすぐ否定される
- 理不尽な指示や命令をしてくる
一言でいうと、部下の考えにまったく関心をもっていない状態です。
こんな上司に対して「なんで聞いてくれへんねん」とか、「理不尽なことばっかり言いやがって~」というふうにムカついているはずです。
でも実はこれ、
「課題の分離」さえできていれば、一切悩まなくて済むことです。
なぜならこれはすべて、「相手の課題」だからです。
「ん? どういうこと?」
と疑問に思ったかもしれませんね。
次の章で、「課題の分離」について詳しく解説します。
「課題の分離」とはどういうことか?
およそあらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと、あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること、によって引き起こされます。課題の分離ができるだけで、対人関係は激変するでしょう。
『嫌われる勇気』第三夜 課題の分離についてP140 より
課題の分離とは、
「これは誰の課題なのか?」
という視点から、「自分の課題」と「他者の課題」とを分離することです。
う~ん・・・
よくわからないですよね(^^;
そもそも、どうやって「これは誰の課題なのか?」を見分けるのかがむずかしいように思います。
本書の中で哲人は、
「誰の課題かを見分ける方法はシンプルだ」と言っています。
その方法とは、
「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」
を考えることです。
たとえば、理不尽な指示や命令をしてくる上司は、仕事を自分の思うように回したいという「上司自身の課題」をもっています。
その仕事が「うまく回らなかった」という結末を最終的に引き受けるのは「上司」なんです。
なのでこれは「上司の課題」であって、部下の課題ではありません。
部下としてできることはただひとつ、自分ができること(自分の課題)をこなすだけ。
つまり、自分の仕事をするだけです。
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」
ということわざがあるように、
馬(相手)を「水辺に連れていくこと(自分の課題)」はできるが、「水を飲ませること(相手の課題)」はできません。
課題を分離し、相手の課題に踏み込まない。
これがもっとも大事なんです。
対人関係の悩みを一気に解消する方法
自らの生について、あなたができるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうすることもできないんです。
『嫌われる勇気』第三夜 課題の分離についてP147 より
他者がどのような評価を下すのか、というのは、いわば相手の課題です。
本書の中で哲人は、「理不尽極まりない会社の上司に認めてもらう必要は無い」と言っています。
たとえば会社の対人関係に悩んでいる人がいたとします。話がまったく通じない上司がいて、事あるごとに怒鳴りつけてくる。どんなに頑張っても認めてくれず、話さえまともに聞いてくれないと。
(中略)
しかし、その上司から認めてもらうことは、あなたが最優先で考えるべき「仕事」なのでしょうか? 仕事とは、社内の人間から気に入られることではないはずです。
(中略)
では、あなたに課題の分離ができていたとすれば、どうなるでしょう。つまり、上司がどれだけ理不尽な怒りをぶつけてこようと、それは「わたし」の課題ではない。理不尽なる感情は、上司自身が始末するべき課題である。すり寄る必要はないし、自分を曲げてまで頭を下げる必要はない。わたしのすべきことは、自らの人生に嘘をつくことなく、自らの課題に立ち向かうことなのだー。
『嫌われる勇気』第三夜 課題の分離についてP148、149 より
このように、課題を分離することで、上司が理不尽なのは自分の課題ではない、だから気にする必要は無い、と割り切れるようになるわけです。
- まずは「これは誰の課題なのか?」を考えて課題を分離する
- そして他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない
これができれば、対人関係の悩みを一気に解消することができるようになります。
「肯定的なあきらめ」が課題の分離に役立つ
本書の中に、「肯定的なあきらめ」という言葉をつかって説明している箇所があります。
これは、「変えられるもの」と「変えられないもの」を見極めることであると、本書の中で語っています。
われわれは「なにが与えられているか」について、変えることはできません。しかし、「与えられたものをどう使うか」については、自分の力によって変えていくことができます。だったら「変えられないもの」に注目するのではなく、「変えられるもの」に注目するしかないでしょう。わたしのいう自己受容とは、そういうことです。
『嫌われる勇気』第五夜 自己受容についてP228 より
わかりやすくいうと、自分がコントロールできないものに執着せずにあきらめよう、ということですね。
相手の感情はコントロールできません。でも、自分の行動はコントロールできます。
上司に対する悩みでいえば、
「もっとこちらの意見を聞いてほしい」と願っても、聞く聞かないは相手が選ぶことなので、コントロールできません。
でも、意見を聞いてもらうためにわかりやすい資料をつくったり、話の構成を考えたりということはできます。
「これは誰の課題か?」という課題の分離と、「変えられるもの」と「変えられないもの」を見極められれば、どうにもならないと思っていた悩みから解放されるでしょう。
最後に
『嫌われる勇気』は、悩みを消し去り、幸福に生きるための具体的な処方箋が、この本にはすべて書かれています。
今回は、第三夜の「他者の課題を切り捨てる」と、第五夜の「いま、ここ」を真剣に生きる、の中から抜粋して引用しました。
その他にも、トラウマに対する否定や、すべての悩みは対人関係であるという主張など、見逃せない内容が満載です。
対人関係で悩んでいる部下や職場の仲間など、すべての人に読んでほしい一冊です。
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