「せっかく動画マニュアルを作ったのに、現場のメンバーが全然見てくれない」
「動画を置いている場所を教えても、結局、口頭で聞きに来る」
現場では、こうした状態になりがちです。
スマホで手軽に動画が撮れるようになり、動画マニュアルに取り組むハードルはぐんと下がりました。
しかし、「動画があれば伝わるはず」と意気込んで作ったものほど、意外と現場では使われずに埋もれてしまうことがあります。
なぜ、苦労して作った動画マニュアルが見られないのでしょうか。
そこには、ツール選び以前の「現場ならではの見づらさ」が隠れています。
「長い動画」は見たい場所を探しにくい
動画マニュアルが使われない最大の理由は、動画が「長すぎる」ことにあります。
例えば、5分間の作業工程をすべて収めた一本の動画。
作る側としては「これ一本見れば全部わかる」と親切心でまとめがちですが、見る側にとってはかなりの負担です。
現場のメンバーがマニュアルを見たいのは、作業の前や、少し手順を確認したいときです。ちょっと確認したいだけなのに、5分もある動画を最初から見る気にはなりにくいものです。
さらに、長い動画には「どこに何が書いてあるか分かりにくい」という欠点もあります。
- 5分間の動画のうち、知りたいのは「3分40秒目あたり」のコツだけ
- 早送りや飛ばし見を繰り返しているうちに、大事な注意点を聞き逃した
- 結局、どこを見ればいいか分からず、詳しい人に聞いたほうが早いとなってしまう
「見たい場所をすぐに見つける対策」として、動画にチャプター(目次)を付ける方法もあります。
しかし、動画ごとにチャプターを細かく設定するのは非常に手間がかかる作業です。
現場にはそこまで緻密な編集を続けられる担当者がいない、あるいは継続が難しいという前提で考える必要があります。
チャプター付きのきれいな長尺動画を目指すよりも、最初から「短い動画・写真・テキスト」に分けたマニュアルにする方が、現場運用としてははるかに現実的です。
「見るのに時間がかかる」と感じさせた時点で、そのマニュアルは現場の選択肢から外れてしまいます。
動画にするべきところ|写真で済むところ
動画マニュアルだからといって、すべてを映像で見せる必要はありません。
むしろ、動画と写真、テキストを使い分けることが、現場で「見返される」ためのコツです。
動画が最も力を発揮するのは、「動き」や「感覚」を伝える場面です。
- 微妙な手の角度や押す力
- 機械の駆動音の変化
- レバーを戻すタイミングや治具に当てる位置
こうした言葉や静止画では伝えにくい部分だけを、10秒〜30秒程度の「短い動画」にして残します。
一方で、作業の「結果」や「状態」を確認したいときは、写真のほうが圧倒的に便利です。
- 部品の正しい取り付け向き
- スイッチがONになっている状態
- 完成品の見た目
写真はパッと見た瞬間に正解が分かります。動画を再生して停止位置を探す手間もありません。
判断基準や注意点は「テキスト」で確認できるようにする
「ここは特に気をつけてほしい」「こうなったらやり直し」といった判断基準や注意点は、テキスト(文字)で残すのが一番です。
動画の中の音声や字幕だけで説明してしまうと、後からそこだけを確認するのが難しくなります。
重要なポイントがテキストで箇条書きになっていれば、作業前にサッと目を通すだけで記憶を呼び起こすことができます。
- 動画: 手順の「流れ」や「動き」を理解する
- 写真: 「正解の状態」をひと目で確認する
- テキスト: 「判断の基準」や「注意点」を忘れないようにする
これらを組み合わせることで、現場で本当に知りたい情報にすぐたどり着けるようになります。
目指すのは「ウェブサイト風」のハイブリッドマニュアル
現場で最も使いやすいのは、一本の完成された動画ではなく、短い動画・写真・テキストが並んだ「ウェブサイト記事」のような形式のマニュアルです。
スクロールするだけで全体像がつかめ、必要なところだけ動画を再生し、注意点は文字でパッと確認できる。
この「探しやすさ」があるからこそ、忙しい現場でも「ちょっと見てみよう」という気持ちになれます。
もし、今手元に「あまり見られていない長い動画」があるなら、それを細かく切り分けて、写真やメモと一緒に並べてみてください。
そもそも何を動画や写真で残すかという前段の考え方については、こちらの記事も参考にしてください。
動画マニュアルは、きれいに編集された「作品」である必要はありません。
現場の人が「今、ここだけ知りたい」と思ったときに、数秒で答えにたどり着ける形。それが、現場で必要なときに開かれるマニュアルになります。
